波形鋼板ウェブ合成構造研究会

Corrugated Steel-Web Bridge Association

波形鋼板ウェブPC橋とは

波形鋼板ウェブPC橋とは、プレストレストコンクリート橋のウェブを波形の鋼板に置き換えたもので、フランスで実用化された構造形式です。従来のPC橋の10%~30%を占めるウェブを軽量な波形鋼板で置き換えることにより、自重の大幅な軽減が図れ、スパンの長大化と施工の省力化が可能となります。また、波形鋼板ウェブにはせん断力に抵抗するが軸力に抵抗しない性質(アコーディオン効果)があります。この性質により、プレストレス力をコンクリート床版に効率よく導入できます。さらに、波形鋼板ウェブは平鋼板に比べ、高いせん断座屈耐力(優れたせん断抵抗性)を有するので、補剛材(スティフナー)の必要がありません。このように、ウェブを波形鋼板に置き換えることにより、断面性能の向上とコストの低減が可能となります。合理的かつ経済的な本構造形式のニーズは、今後ますます高まるものと思われます。


波形鋼板ウェブPC橋の概念図

コンクリート床板と波形鋼板ウェブの接合

複合構造において、コンクリート床板と波形鋼板ウェブとの接合部は、波形鋼板ウェブPC橋の最も重要な構造要素であり、構造性、耐久性経済性に影響する部材です。当初、コンクリート床板と波形鋼板ウェブとの接合部には、スタッドジベル接合やアングルジベル接合が使用されましたが、接合部のコスト低減や構造性能を改善するため日本独自の接合方法が開発されました。既往の施工実績における波形鋼板ウェブと上下床板との接合方法を以下に示します。
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アングルジベル接合


スタッドジベル接合


埋込み接合


シングルPBL接合


シングルPBL+スタッドジベル接合


ツインPBL接合

波形鋼板ウェブの接合

波形鋼板ウェブPC橋では、ウェブには軸力は作用せず、せん断力のみしか作用しないため、通常の鋼橋のように継手部においてウェブの軸線を一致させる必要がありません。このため、一面摩擦高力ボルト接合や重合わせすみ肉溶接継手などの接合構造を使用することができます。既往の施工実績における波形鋼板同士の接合方法を以下に示します。
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一面摩擦高力ボルト継手


二面摩擦高力ボルト継手


突合わせ全断面溶込み溶接継手


重合わせスミ肉溶接継手

波形鋼板ウェブPC橋の特徴

主桁自重の軽減

自重の10%~30%を占めるウェブに軽量な波形鋼板を用いるため、主げた自重を軽減でき、スパンの長大化・施工の省力化が可能となります。

高いせん断座屈耐力

波形にすることにより、高いせん断座屈耐力が得られるため、補剛材(スティフナー)を必要としません。


高いせん断座屈耐力

施工の合理化、コストの低減

コンクリートウェブが不要になるため、施工の合理化・工期短縮・コストの低減が図れます。

優れたアコーディオン効果

軸力に抵抗しないアコーディオン効果により、コンクリート床版のみに効率よくプレストレスを導入できます。

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